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2012年01月05日

射手ムムシュ2

初めて射た人間は父であった。

誰よりも早く起き、
狩りに出かける父を、
樹上から射た。
矢は吸い込まれるように額を貫いた。

不意に子どもの手から放された人形のように、
父はあっさりと倒れた。
気付く者は誰もいない。
時おり鳥のさえずりだけが聞こえる。

俺が、奪った。
血潮が駆け巡る。
この感触。
知ってしまった。
もう戻れない。

ムムシュは引きつったような笑みを浮かべ、
太陽が顔を出す頃、
静かに村を離れた。
posted by 森山智仁 at 16:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説『太陽の鎖』 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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