腕力ではやはり大人たちに敵わない。
あの日、ラブラスと共に村へ戻った時、
町は既に焼け跡と化して、国王軍の旗が立っていた。
パルタは何かを考えるより先に、目に入った敵兵に飛びかかった。
がむしゃらに戦い、足に傷を負った。
倒れかけたところをラブラスに救われ、生き長らえたのだ。
一人も倒せなかった。
最後にものを言うのは腕力だと、
あの時からパルタは強く感じていた。
弓ならば比較的好んで稽古をしていたから、
技術にも多少自信がある。
だが、持たされたのは槍だった。
反乱軍の中で槍を使う者はほとんどいない。
頭領のアラカチャに倣って矛を使う者が多い。
巨大な刀身を持ち、振っても突いても使える矛に比べると、
槍の小さな穂先はひどく頼りなげに見えた。
不満そうな顔を見せたつもりはなかった。
ところがウトゥクはパルタの気持ちを察したらしい。
笑いながら話しかけてきた。
「懐の小刀を貸してみろ。
その槍もだ」
父母の形見の小刀と槍とを差し出した。
ウトゥクは槍の穂先を外しながら言った。
「弓を引ける者は他にもいる。
だがその脚はお前だけのものだ。
相手の予測より遥かに速く、間合いに入り、突く。
それができればただの突きが奥義となる」
奥義。
その響きに、体が熱くなった。
槍には形見の小刀が穂先として付けられた。
「これがお前の武器だ。
大切にしろ」
パルタは槍を握り締め、深く頭を下げた。