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2015年11月15日

自宅から伊能忠敬記念館までの地図を作るE

4日間、採取したデータを元に、地図を描く。
の前に、先に総括をしておくことにする。
何しろ反省点が多過ぎるのである。



×コンパスが不安定
これが最大の問題であった。

最初はなにげなく水平を取り、進行方向の方位を測って、メモしていた。
ある時、どう見ても北東なのに、南東を示していることに気付いた。
逆上しながら本体をグルグル回したり再起動したりしてみたが、状況は変わらない。
人類の叡智の結晶たるiPhone本体のコンパスがこんなに狂っているはずがない。

鉄鋼を大量に積んだトラックが横を通った時、針がぶおんと大きく揺れた。
そして僕は気付いた。
「鉄のせいだ!」
周辺の「鉄」がiPhoneに強い影響を与えていたのである。(多分)

IMG_3050.JPG
ああいうのがあるともう無理

コンパスが利かないなんてのは、富士の樹海とか、そういう特殊な場所での話だと思っていた。
とんでもない。
コンパスはとても繊細な人だったのだ。

伊能隊もコンパスを使う為、計測者は腰の刀を竹光にしていたという。
それを僕は「粋」の一種だと思っていた。(何故だ)
そうではなくて、普通に実務的な意味で鉄を遠ざけたかったのだ。

甘く見ていたことは反省する。
しかし町中にいる以上、鉄から完全に離れることは不可能だ。

試行錯誤の末、地図アプリを併用するという方法で落ち着いた。
左下の矢印を押すと、本体が今向いている方向が表示される。

IMG_3096.PNG
今おれ真南向いてるはずなんだけど右上の表示は……こんなことはザラ

表示上の進行方向と実際に進もうとしている方向を合わせ、それからコンパスを見る。
つまり彼の勘違いに話を合わせてあげるということである。

ひとまずこの方法で明らかなミスは防げるようになった。
とは言えスマートで正確な計測とは程遠い。

iPhoneの仕様なのか普通のコンパスでも同じなのか?
それは比較していないのでわからないのだが。



×歩測が不正確

事前に張り切って自分の歩幅を測ったわけだが、実際の歩測は困難を極めた。

1.道がまっすぐじゃない
横断歩道が内側に食い込んでいたり、カーブが緩やかだったりと、とにかくまっすぐじゃない。

2.歩幅が安定しない
「強く踏み込む」幅で測ろうとした為、体力の消耗が激しく、みるみるうちに短くなっていった。

つまり全然正確な距離は測れていない。
それでも僕は歩数カウントを続けた。
やめようかと何度か思った。
もう二度とやりたくない。

IMG_3044.JPG
頭の中は数字で埋め尽くされる。景色など見ているとすぐにわからなくなる。



×数珠が切れた

100歩をカウントする大事な数珠が早々に切れた。
いつか訪れ得る事態だとは思っていたが、まさか開始から30分以内とは。

IMG_3097.JPG
願いが叶うわけではない

以降は極めて原始的に「指」で数え続けた。
新しい数珠を買えばよかったのだが。



×勾配は諦めた

平坦じゃない地面は勾配を測らなければならないのだが、とても無理だった。
平坦じゃない道ばかりだった。
まるで人生のようだ。



×電車に乗った

伊能隊が1日40kmやったのだから、25kmぐらいならやれるだろう。
と思っていたが、曲がり角ごとに歩数と角度をメモするのは予想以上に手間だった。

歩いている間は時速5km近く出ていたはずだ。
しかし立ち止まっている時間を含めると、時速3kmぐらいでしか進んでいなかった。

あまりにしんどくて、途中2回、計10kmほど電車に乗った。
曲がり角が多過ぎる住宅地を避ける意味もあった。




たくさんの妥協を抱えて、ひたすら方位と歩数を書き留めた。
もはや「測量」とは呼べない。
それは「儀式」であった。


posted by 森山智仁 at 12:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 取材旅行:千葉測量編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月09日

自宅から伊能忠敬記念館までの地図を作るD

劇場へ芝居を観に行くついでに、歩測の実験を行う。
メジャーで得た数字「1歩87.7cm」を使って、実際に距離を測ってみるのである。

カウントには「数珠」を用いることにした。
左手の指で100歩をカウントし、100歩ごとに右手の数珠を1玉送る。

IMG_3040.JPG
修行ではない。いや、修行なのかも知れない。

「なんで万歩計使わないんですか?」と人から訊かれた。
そりゃあ勿論、伊能忠敬の時代にはそんなものなかったからである。

スクリーンショット (3).png
「自宅」から「要町病院」までは往路1325歩、復路1375歩だった。
平均1350歩×87.7cm=1184m。
Googleマップによると約1.2km。
おお、合っているではないか!

スクリーンショット (4).png
「セブンイレブン池袋要町駅前店」から「ビックカメラ池袋西口支店」までは往路1090歩、復路1060歩。
平均1075歩×87.7cm=943m。
Googleマップによると約0.9km。
うむ、大体合っている。

スクリーンショット (5).png
「大黒屋池袋店」から「シアターグリーン」まではジャスト500歩。
これは片道しか測らなかった。
×87.7cm=439m。
Googleマップによると約0.4km。
いい感じだ……!

ちょっと自信が出てきたぞ。
そして翌日。

スクリーンショット (7).png
「自宅」から「健康プラザとしま」までは往路1400歩、復路1444歩。
平均1422歩×87.7cm=1247m。
Googleマップによると約1.3km。
む、ちょっと短かったか。

スクリーンショット (6).png
「健康プラザとしま」から「パルコP'池袋店別館」までは往復共に580で一致!
×87.7cm=509m。
Googleマップによると約0.45km。
むむ、ちょっと長かったか……。

伊能隊は複数人で平均を取っていたらしい。
それに、夜ごとに北極星の高度を観測して緯度を確かめていたので、南北に長い道を測る時は歩測でも何とかなったという。
(一方、東西に長い道が苦手。
当時は経度を知る術が確立していなかったのだ)

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北極星の高さ=緯度。宇宙のロマン。

僕は一人だし、本番は往復するわけにもいかないので、平均は取れない。
天体観測もしてみたいが、器具もないし、都会では多分難しい。
iPhoneで緯度も経度もわかっちゃうんだけれどそれはさすがに味気ない。

ちょっと長かったり短かったりなので、「87.7cm」という数字はそれなりに正しいのだろう。
かくなる上は、自分を信じるしかない。
posted by 森山智仁 at 11:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 取材旅行:千葉測量編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月08日

自宅から伊能忠敬記念館までの地図を作るC

アプリを使って400歩の距離を測る作戦は上手くいっていない気がした。
だいいち電子機器に頼りっ放しではいけないのだ。

というわけで、メジャーを使うことにする。

IMG_3038.JPG
こういうこと

10歩の距離を測って10で割る。
大変わかりやすい。

かなり人通りの多い時間帯だった。
通行人は見てはいけないものを見るような目でチラ見してくる。
子供や老人はじろじろ見てくる。
いっそ「何してるの?」と訊いてくれたら……いや、それも困る。
何の為に一歩の長さを測ろうとしているのか、説明が面倒臭い。

さて、変なおじさんは好奇の目にさらされながら、50回分のデータを採取した。

IMG_3039.JPG
貴重なデータ

序盤、差が大きいことに驚いた。
人間の歩幅はもっと安定しているものだと思っていたが、とんでもない。
最大20cm以上の差が出ている。
つまり「400歩」のデータがバラついたのも、アプリの精度の問題ではなかったのだ。
疑ってごめんなさい。

最初の20回で「これではダメだ」と確信した。
漫然と歩いているのでは絶対に安定しない。
そこで、次の20回は「広めの歩幅で安定させる」ことを目標とした。
通常より広めに踏み込んで、後ろ足をやや強めに蹴る感覚。
すると870〜880cmあたりでそこそこ安定した。

それから、試しに10回、おさんぽ感覚でゆるゆると歩いてみた。
やはり差が出やすいし、何事かを成しているという手応え(足だけど)がない。

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スポーツ感覚で踏み込んでいこう

「広め」を狙えば安定しそうだということはわかったが、問題が二つある。
一つは、荷物や疲労が強く影響しそうだということ。
もう一つは、スピードが出てしまうので、対向者を避けるのが難しいということ。

歩測というものを甘く見ていた。
「根気」さえあれば何とかなると思っていた。
歩幅を一定に保つ「技術」も必要だったのである。

果たして4日間、80kmもやり通せるだろうか。
不安でならない。

歩測で3200kmも測った伊能忠敬マジやばい。
しかも御年50過ぎで1日40kmペースだったのだ。
posted by 森山智仁 at 12:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 取材旅行:千葉測量編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月07日

自宅から伊能忠敬記念館までの地図を作るB

歩測をするなら、一歩の歩幅を知らなければならない。

そこでまたiPhoneの出番である。
「移動距離」が測れるアプリを取ってみた。

IMG_2996.PNG
Runtastic

GPSを使ってどれだけ移動したかを教えてくれる。
本来はランニングなどに使うものらしい。

ある程度長い距離、歩数を数えながら歩き、移動距離から歩幅を計算する、という作戦である。

IMG_2986.JPG
絶好の歩測日和

歩き始めて気付いた。
「歩数数えるの大変!」
雑念が入り込むスキマがない、というのはある意味とても助かるのだが。
今何歩か、油断するとすぐわからなくなるのだ。

とりあえず的に指を使った。
10歩ごとに、右手の親指から左手の親指にかけて、順番に折る。
100に達したら今度は逆順に開いていき、200まで来たらまた折っていく。
このやり方で、400歩の距離を何度か取ってみた。

1024-cc-library010002809.jpg
伊能忠敬は「碁石」を使って数えたらしい

さて、計測結果。
0.31km
0.34km
0.35km
0.33km
0.32km
0.33km
0.36km
0.34km
0.37km

え、そんなにバラつく!?

同じ400歩の距離で、最大60mも差がつくなんてことがあるだろうか。
1歩あたり15cmもの違いがあったことになる。

僕はちょっとアプリの精度を疑った。
そもそもこんな使い方をする為のものではないのだ。

一応、この結果から算出すると、僕の歩幅は「約84.7cm」ということになる。

IMG_3032.JPG
身長は165cmです

渡辺一郎氏によると、伊能忠敬は推定身長160cmぐらいで、歩幅は約69cmだったらしい。
また、歩測大会のデータでは、身長150cm〜180cmの人の歩幅はほぼ70cmを超えるという。

84.7cmという数字もあり得なくはないが、やはりちょっと広過ぎるような気がする。
というわけで、メジャーを使うというシンプルな方法に回帰するのである。

つづく。



追記:今回は「まっすぐ歩く」ということの難しさも感じた。
人を避けなければならないし、横断歩道だの何だのでちょくちょく曲がらされる。
まっすぐ歩くにはあらかじめルートを見定め、「人を避けない」という日本人らしからぬ態度を貫かなければならないのである。
いっそ「測量中」と書いた旗でも差していればみんな避けてくれそうだが、それはちょっと恥ずかしい。
posted by 森山智仁 at 09:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 取材旅行:千葉測量編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月05日

自宅から伊能忠敬記念館までの地図を作るA

伊能忠敬の測量はいたってシンプル。
「××度の方向に××進んだ」という記録をひたすら繰り返す。
導線法と呼ばれている。

距離を測るのには縄や鎖を用いた。
「量程車」という機械は平らな道でないと使えないのであまり活躍しなかったらしい。
歩数で測ったのは第一次測量のみ。
できればもっとちゃんと測りたかったが、その時は急いでいたのだそうだ。

角度を測るのには「彎窠羅鍼」(わんからしん)というコンパス付きの杖を使った。
杖が傾いてもコンパスは水平が保たれるというスグレモノである。

さて、僕はどうするかというと、まず距離は歩数で測る。
メジャーを使うのは恥ずかしいし手間もかかるし一人じゃ無理だ。

角度は「マイ彎窠羅鍼」で測る。

IMG_2973.JPG
よろしく、相棒。

三脚にスマートフォンホルダーを取り付けたもの。
曲がり角でこれを立てて、iPhoneのコンパスアプリで角度を見る。
ぶっちゃけ三脚は要らないというか邪魔かも知れないが、気分を出す為である。

また、忠敬は富士山などの目立つ目標物に対して、複数の地点から方位を測っていた。
交会法と呼ばれ、地図の精度を確認し、誤差を修正する為のものである。
伊能図を見ると細い赤線がたくさん引かれている。
僕もちょうどいい目標物があったら方位を測っておこうと思う。

yam0060-049.jpg
都会のビル群の中で富士山的なものは見つかるだろうか?

坂道は「象限儀」で勾配を測って三角関数で平面距離を算出したらしい。
一瞬「マイ象限儀」も作ろうかと思ったが、一人では使えない。
コンパスアプリで勾配も測れてしまうので、今回はこれに頼ることにする。

IMG_2984.PNG
iPhone、便利。
posted by 森山智仁 at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 取材旅行:千葉測量編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月04日

自宅から伊能忠敬記念館までの地図を作る@

次回公演『ジオグラフィア』の題材は、江戸時代に日本全土を測量した伊能忠敬である。

千葉県香取市に「伊能忠敬記念館」がある。
僕の住んでいるアパートは東京都板橋区。
歩けない距離ではない。
というわけで、測量をしながら歩いてみることにした。

スクリーンショット (2).png
全長86km

頑張れば1日40kmは歩けるはず。
だが、測量をしながらだと果たしてどのぐらいかかるかわからない。
余裕をもって、3泊4日、1日平均20km前後と設定する。

内2泊はテントを使いたかった。
節約の為でもあるが、テントで寝るのが好きなのだ。
しかし公園などではおまわりさんに怒られる可能性がある。
経験上「大きな橋が架かった広い川原」でないと難しい。
今回は川沿いの旅ではないので、諦めてカプセルホテルなどを予約した。

この時点でめっちゃGoogleマップを使っている。
当日もiPhoneの地図アプリをめっちゃ使うつもりである。
地図を使って地図を作る。
手作り納豆のようなものとご理解いただきたい。

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市販の納豆を使って大豆を納豆化することができる

実際、忠敬も各地域で既存の絵図を参考にしていたらしい。
posted by 森山智仁 at 16:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 取材旅行:千葉測量編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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