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2013年06月04日

初めて演劇の舞台に立つ若いあなたへ

若いとは言え、あなたは既に20年近く、またはそれ以上、生きています。
経験があります。
ですから、あなたには色々なことができます。

逆の言い方をすれば、生きてしまっています。
自分らしさの檻が形成されています。
ですから、あなたにできることは限られています。





経験は、有益です。

あなたが「熟練した伝統工芸の職人」の役を演じるとします。
雰囲気的なものをイメージすることはできるでしょう。
しかし彼の手付きを高精度で表現することはできないでしょう。
極端なようですが、そういうことです。

やったことのない喋り方・表情・動作は、基本的に不可能です。
「想像力」はあくまでも補う為のものです。
朝目覚めたら芋虫になっていたみたいに、
舞台に立ったらヒーローになるなんてことはあり得ません。





自分らしさは、武器であり、しがらみでもあります。
腕に鎖で繋がれた鉄球のようなものです。

あなたはチャラいですか?
はい、チャラいですね、見ればわかります。
ならば「チャラ男」の役ができるでしょう。
やり甲斐がないなんて贅沢を言ってはいけません。
ぴったりの役をやるのが一番なのです。

そちらのあなたは、チャラくないようですね。
ならば「チャラ男」の役はやらない方がいいでしょう。
どんなに一生懸命やってもきっとふざけてるようにしか見えません。

「色んな役を演じられるから」というのが、
あなたが俳優を目指す動機だったかも知れません。
間違ってはいません。
あなたにできる役は何百とあります。
けれども、あなたにできない役は何千何万とあって、
その中にあなたがやりたかった役が含まれているかも知れません。

じゃがいも料理はたくさんあります。
しかしじゃがいもからところてんを作ることはできません。
(努力・研究の余地はあります。
昔の人は米を粉にしてパンにするなんて思いも寄らなかったでしょう)









「経験」と「自分らしさ」とに分けましたが、
まぁつまりどちらも同じようなものです。

これからの人生、なるべくたくさんの経験を積んでください。
それから、大人になるともうあまり変わることはないでしょうが、
できることなら柔軟な性格になるよう努めた方が良いでしょう。

さて、今度の初舞台について、あなたが最初にやるべきことは、
自分に合った、自分に可能な役が来るのを、祈ることです。

どんな役でもやり遂げようという気概は勿論大事ですが、
自分の「スペック」を把握することはそれ以上に大切なのです。
posted by 森山智仁 at 12:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月03日

初めて演劇の脚本を書く若いあなたへ

これもまた、あくまでも僕の考えです。

そしてまた、「職業」として捉えるなら、もっと大事なことがきっとたくさんあります。





定めたテーマに関する本を、最低「2冊」読んでください。
勿論多いに越したことはないでしょう。
プロは恐らく当たり前のように二桁読みます。
しかし、とにかく「0」や「1」でないことが肝要です。
複数の視点に立つことで初めて物事は立体化します。

ウィキペディアのページは、冊数に含めないでください。
まとまり過ぎているのは毒なのです。
プロフィールだけ見て異性に告白するようなものです。

そして、リサーチをどれだけ頑張っても、頑張ったこと自体は、忘れてください。
今書こうとしているのは脚本であって、レポートではありません。
調べたことを書くだけなら誰にでもできます。
レポート的なものをエンタメ化することも勿論可能ですが、その土俵では絶対NHKに勝てません。

それから、あなたの、あなたにしか書けない「言葉」を、探してください。
「筋書き」は、強いて言えば、他人と相談できる領域です。
人に助言を求めたり、稽古を進めながら変えたりもできます。
けれども「言葉」だけは、誰にも助けられません。

言葉を、ください。
言葉の独創性を、豊かさを、波動を、
求めている観客は、数こそ多くはありませんが、ちゃんと存在します。
少なくとも一人、ここにいます。
プライドがあるなら、どうか、予想外の言葉を。
posted by 森山智仁 at 00:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月01日

初めて演劇の演出をする若いあなたへ

役者もみんな舞台経験ない人ばかりだとします。

これは、あくまでも僕の考えです。





最初の読み合わせで時間を計り、
上演時間がその半分になるようにやってみてください。
2時間かかったら1時間です。

台本を超削り、場転を工夫し、テンポを思い切り上げさせてください。
「必要な間」は、本当に少ししかありません。
意地でも1時間にしてください。

多分それで、面白くなると思います。
posted by 森山智仁 at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月01日

ひまつぶしの作品解説

企画LIVE vol.2『バッコスのひまつぶし』へのご来場、
誠にありがとうございました!
上演した2つの短編演劇について、
簡単な解説をさせていただきます。



『ワシントンの斧』

アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンのお話です。
少年時代、「斧の切れ味を為したくて」、桜の木を切ってしまい、
親に自分がやったと告白したところ、叱られるどころか、
その正直さを褒められた、というエピソードを元に、
切った「動機」をオリジナルのものに改変しました。
実はそもそもこの桜のエピソード自体が創作なのだそうですが、
まぁそんな目くじら立てるようなことでもないでしょう。

初代大統領の座には、議会の満場一致で選ばれました。
「彼しかいない」誰もがそう思う大人物だったわけです。
今もなお国民から人気の高い大統領と言えばワシントンです。
しかし彼はインディアンから最も憎まれた人物の一人でもあるのでした。



『People on the Bridge』

劇団初の時事系ブラックコメディ、と銘打った作品です。
北と南、対立する二つの架空の村が舞台で、
登場する様々なエピソードが現実社会の出来事をモデルとしています。

「北の村が出している排気ガス」とはPM2.5のこと、
「あの山」(竹山)とは竹島のことです。
すなわちこの二点について言えば北=中国で南=日本なのですが、
「トンネル」や「橋」などは北朝鮮と韓国の関係をイメージしており、
すなわち日中と南北朝鮮の問題が混在しておりまして、
そこがいささかお客様に混乱を招いた部分かも知れません。

韓国を旅行した際、広場で囲碁を打つおじさんたちに出逢いました。
寒さなどまるで感じていないかのように、
大勢が夢中で打っている様が強く印象に残っており、
これがコントラクト・ブリッジを取り入れる発想の元となりました。
ブリッジというゲームを選んだのは、その名前と、
4人いないとできないということからです。
posted by 森山智仁 at 09:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月13日

池袋演劇祭

池袋演劇祭について忌憚なく述べる。

王子小劇場の佐藤佐吉賞や、CoRichの舞台芸術アワードなどとは、まったく違う演劇祭。
ほとんど対極に位置する。

若手劇団の登竜門ではない。
池袋演劇祭で受賞してから一気に注目度が上がった、という話を聞いたことがない。
(池袋で活動している同士を除く)

公表されていないが、審査員(一般公募)の平均年齢はハッキリ言って高い。
勿論、年齢の高い審査員=センスが無い、なんてことはない。
新しいことに貪欲な先輩を何人も知っている。
しかし均せば結局のところ「普通」のものが好まれる。
王子小劇場で上演されている作品の多くは、池袋演劇祭の審査員が観れば大抵「チンプンカンプン」だろう。

「攻め」ても、評価されない。
ぬいぐるみハンター、DULL-COLORED POP、THE・ガジラ等、
僕が「ガツン」と「やられた」と感じるような面白い舞台も、
池袋演劇祭で賞を取るかと言えばまず取らないと思う。



それでも僕が池袋演劇祭での受賞歴を劇団のウリの一つとし、
次回もまた参加しようとしているのは、
池袋演劇祭で賞を取ることに意味があると思うからだ。

「見ず知らずの小劇場劇団を観る人口」は「単館上映の映画を観る人口」より遥かに少ないらしい。
その中で、最先端の演劇を本当の意味で理解できる人などほんの一握りだろう。
芸術としての可能性の追求は必要。
それは前提として、演劇は本来、娯楽なのである。

裁判員制度のように、無作為に10人、演劇なんか興味のない人を呼んで、作品を見せたとする。
恐らくそのうちの8人、少なくとも6人は楽しめる。
受賞しているならそういう作品、という信頼が池袋演劇祭にはある。

池袋演劇祭で賞を取りながら、「攻め」る、ということをしたい。
以前は「大衆化と高級化の並行」を劇団の理念としていた。
漢字ばかり並んでピンと来ないので「最高のスタンダード」と改めたが、基本的な考え方は昔と変わらない。
posted by 森山智仁 at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月12日

龍馬の切り口

みんなが大好きな龍馬を、
みんなが大好きなように描くには、
ノイズとなるエピソードが二つある。

●江戸で黒船を見た際、実家宛に「異人の首を取って帰ります」と書き送っていること。
●後に師となる勝海舟を、始めは斬るつもりだったこと。

これだけを抜き出してみるとバリバリの攘夷派っぽい。
誰よりも未来を見ている人物らしくは決してない。
故に、このへんのことは何となくボカして描かれることが多い。

しかし、だからこそ、
新しい「龍馬」をやるには、ここが切り口となる。

9月26日(木)〜10月2日(水)
@萬劇場
『押忍! 龍馬』(タイトル確定)


※6月にオーディションやります。



の前に、ライブがあります。
どうぞお見逃しなく!

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企画LIVE vol.2『バッコスのひまつぶし』
4月23日(火)〜28日(日)
@渋谷 Gallery LE DECO 4F
特設サイト / ご予約
posted by 森山智仁 at 17:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月29日

次の次は「龍馬」

最近面白いことがないなあと思いながら眠ったら、
強烈な夢にドつかれるようにして目が覚めた。
こういう時、神様はいるんだなあと思う。

例に漏れず、詳細は他人にとっては退屈な話でしかないので省くが、
とにかくそれは命に関わる夢だった。

劇作をやる知人で「絶対に劇中で人を殺さない」という人がいる。
人が死ぬと人はすぐ感動してしまうからだ。
その誓いは良いことだと思うし、
意図とは別に、命の「威力」を示してもいる。

舞台で人が死んだり命を賭けたりすると、
それがどんなに陳腐でくだらない作品でも、
必ずと言っていいほど客席のどこかからすすり泣きが聞こえる。
それでいつも「おいおいマジかよ……」と、
ますますその作品から距離を取りたくなってしまうのだが、
そういう僕も流石に近親者が死にかける夢を見れば飛び起きる。

僕が書くのは歴史モノなので、自然と劇中で人が死んでしまう。
楽に感動させたいわけではない。
誰もが知ることだが、命の取り扱われ方が現代の日本とは全然違うのだ。
ナチスがユダヤ人を大量虐殺したことは非難の的になるが、
近頃すっかりイケメンになった戦国武将の皆さんも、
突撃を一回命じれば足軽が何十人も死ぬ。

とは言え上演するのは現代の日本なので、
「今とは違ったんですよー」と、
ただ陳列だけでは何の説得力もない。



龍馬は生涯殺人をしなかったそうだが、
そのせいか多くの作品で「歴史の中に迷い込んだ現代人」のような描かれ方をしている。
大人物だが「むしろ普通」で、故に共感されやすい。
「現代人としては」ごく一般的な感情をあの激動の時代に堂々と持っていられた、
というのが確かに龍馬の魅力の一つなのであろうが、

わかった。
そういうものは「既にある」ので、
僕は違うことをしよう。

次々回!
劇団バッコスの祭 第22回公演
9/26〜10/2 @萬劇場
『押忍! 龍馬』(仮題)
第25回池袋演劇祭参加作品

6月にまたオーディションやります。
posted by 森山智仁 at 13:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月18日

ご来場ありがとうございました!&次回予告!!

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613produce合同公演『桜』無事終演しました。
ご来場ありがとうございました!

普段とは少しテイストの異なる作品を、
いつもとは客層も違う中で上演するという、
大変貴重な機会に恵まれました。

めもり〜ずさんの謎解き(的な)要素、
シアターHMさんの変化に富んだ構成、
613さんの音楽の使い方など、
共演させていただく中で勉強になる部分もありました。
特にSky Theater PROJECTさんの空気感は本当に素敵だったと思います。



明日はこの合同公演で上演した『ワシントンの斧』を銀座でのイベントに持ち込みます。
お時間ある方は是非どうぞ。



そして、来月は企画LIVE vol.2『バッコスのひまつぶし』です。
『ワシントンの斧』のcherry editionをtime killing editionとして上演する他、
コントを複数やりつつ、
さらに新作の短編をもう一つ発表します。

この短編はなんと合同公演の最中に楽屋で書き上げました。
ここ数日、自分でも驚くほど筆がノっている状態です。
もしかしたら珍しく「書き溜め」ができるかも知れません。
今後の本公演も期待していただきつつ、まずはLIVEへ!
お酒のおかわりをたくさん用意してお待ちしております。

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企画LIVE vol.2
バッコスのひまつぶし


何処でもない、けれど何処かのような二つの村。
「その土地」はどちらの領土なのか。
大気汚染は止められるのか。
双方歩み寄りの姿勢は見られない中へ、一人の学生がまぎれ込む。
劇団初の“時事系”ブラックコメディ――『People on the Bridge』
他、珠玉の短編を連続上演!


2013年4月
23日(火)19:30
24日(水)14:00★/19:30
25日(木)14:00★/19:00
26日(金)19:00
27日(土)14:00/19:00
28日(日)12:00★
★の回は日替わりゲストが登場!
※受付開始・開場は30分前です。

渋谷 Gallery LE DECO 4F
渋谷駅東口より徒歩7分・新南口より徒歩3分
東京都渋谷区渋谷3-16-3

前売:2200円/当日:2500円 (1drink付き)
※未就学児童のご入場はご遠慮ください。

【tweet about us!】
「バッコスのひまつぶし」というキーワードを入れてツイートしてください。
受付にて画面をご提示いただきますと100円をキャッシュバック致します。

≪ご予約受付中!≫
下記のフォームに必要事項をご記入ください。
http://481engine.com/rsrv/webform.php?s=2lk9gvbarz2au1n4
――――――――――――――――――――――――――――――
posted by 森山智仁 at 16:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月14日

【告知】最先端とコラボ!します

合同公演の直後、業界最先端の皆さんとコラボする機会をいただきました。
圧倒されるほどオシャレな方々と「王道」バッコスの祭がどんな化学反応を起こすのか!
必見です( ´ ▽ ` )ノ

1ステージのみですが、ご都合よろしければ是非遊びに来てください。
ご予約は下記のフォームからどうぞ。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/c9be3be6186270

----------

「小松崎純&FRIENDS vol 5」
今回はメニューてんこ盛りです。

ゲストは「ケイン」
美容家でエンタの総合プロデューサー。最高のトークと歌を披露します。ファッションも必見です。

「KAORI」
日本No1のポールダンサー。
http://www.transformxxx.com/

「マルコス」
クオーターのモデルでヴォーカリスト。

お笑いは3組登場。
「カウクローズ」
http://oga-labo.com/talents/cowcloth
「あがいん直」
http://oga-labo.com/talents/again%20sunao
「こばやしけん太」
http://www.kojima-kikaku.co.jp/products/detail.php?product_id=48

「りかちゃん」
歌のトークに〜OhSexy!

「劇団バッコスの祭」
演劇『桜 〜ワシントンの斧〜』
http://www.geocities.jp/bacoma_info/

ぜひぜひお越しください!

3月19日(火)
18時30分OPEN
19時30分START

銀座TACT
中央区銀座6-9-15 タクトワンビルB1
http://www.ginzatact.co.jp/tact/map/index.html

ライブチャージ
4000円(with1drink)

主催 MUSIC-YAH  P/堺泰馬
http://www.music-yah.jp
posted by 森山智仁 at 14:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月04日

もし世界が100席のキャパだったら

どんな演劇が、良いか。

演劇に良いも悪いもない。
けれども僕には僕なりの考えがある。



身も蓋もないけど多数決だと思う。

ザックリ言って、100人中、
●80人がわかるなら適温、か?
●1人にしかわからないなら自己満足。
●20人がわかるなら価値はある。
●99人もわかるのでは、その内10人は退屈している。

この「わかる」というのもまたひどく曖昧な言葉だ。
しかしアバウトにしておくぐらいが多分ちょうどいい。

うちの作品はどちらかと言えば大衆向けだと思うが、
「仲間」に向けて発したいという気持ちも、ある。



「自分」を表現したい気持ち。
それが純度100%の時、わかる観客は0人かも知れない。
1人はいるかも知れない、そこに賭けるならそれもいい。
わかるかどうかなんて構わない、そういうスタンスだってある。

但し、わからない観客は確かに存在して、眠ったり怒ったりしている。
たとえ視界に入れなくても存在を消すことはできない。

しかし「99人」のではつまらないのだ!
そして「恐らく少数にしか理解できないもの」を見つけた時の、
同郷の人間と出逢ったような、込み上げる喜びは他にかえ難い。

だが……
と、この振り子は止まらない。



僕の過去の作品で一番「個人的」なのはやはり『ジオグラフィア』だろうか。
終盤の展開は今でも気に入っている。
posted by 森山智仁 at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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