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2013年11月19日

ブラック企業

と言えば、高確率でワタミフードサービスが連想される。
とりあえずGoogle検索の関連ワード候補には挙がる。
そのイメージには勿論誇張もあるとは思う。





ワタミ系列のある居酒屋でアルバイトをしたことがあった。
当時の僕は派遣以外のアルバイトをすること自体が初めてで、
見た目も実質も間違いなく「使えないお坊ちゃん」であった。
だから当時、下記のような待遇があったことも、すっかり納得している。

新人研修のオープニングは社長からのビデオレターを見ることだった。
(当時は違和感を覚えつつもそういうものかなと思ったが、
その後のアルバイト経験でそれが特殊な例であることを知った)
ビデオレターはバックルームで観るのだが、
そのバックルームは二畳ほどのスペースしかなく、
「誰かが話しているとテレビの音なんかまるで聞こえない」。
僕がビデオレターを視聴している間、
先輩たちは明らかに意図的と思えるレベルで、
大声で談笑していた。
確かに社長のメッセージには興味がなかったから問題はなかったが、
アルバイト初日、あの先制攻撃には参った。

1.「あいつ使えそうにねーから脅しとけ」と店長から指示があった。
2.「俺らが迷惑するから脅しとこう」という共通認識があった。
3.「社長のビデオなんて意味ねーよな」という仲間意識の表明。
4.特に意図はない。

普通に考えると4.なのだが、
そこそこの確率で2.、
あり得なくはない確率で1.、
だと思っている。

繰り返しになるが、使えないのが悪いのだから、文句はない。
僕が「古参バイト」の立場なら、使えない新人には来てほしくないし、
「店長」なら、「深夜と土日入れる」なら一応取るべきだが、
「案の定使えない奴だった」ら、すぐ辞めてほしい。





企業の目的は利益の追求である。
「人に優しく」している場合ではない。

その原則自体には何ら疑問を差し挟む余地がない、と、
僕は考えている(いた)ので、
先日読んだ『女たちのサバイバル作戦』(上野千鶴子著)に、
すんなりと入っていけないところがあった。

「女はどうせ出産する、つまり退職する」。
そのイメージを、心から「非道い」とは思えなかったのである。

優先すべきは利益。
男女同権は行政の課題であって、
利益を争うことは「方針」ではなく「真理」と感じてしまう。
見る人が見れば僕も「洗脳」されているのだろう。
(上野さんも恐らくそういう読者がいることを見越した上で、
古い体質にしがみついていれば結局「競争」で負けることになる、
という展開をしておられる)





理不尽なだけの「ブラック」なら結局生き残れない。
だが企業側には「忠実で使える奴だけ残ってほしい」という「理」があり、
雇用される側でも「使えないのが悪い」は自明となっている。

だったら何をやっても許される、ではないが、
甘いこと言ってんじゃねぇよ、にも、どうしても説得力がある。





利益の追求は神から与えられた毒リンゴなのかも知れない。
だとしても日本人のほとんどはその誘惑に抗えない。
posted by 森山智仁 at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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