足を運ばない理由は、お代が高すぎるからである。
もちろんそんな金を払えないわけではない。
ただ彼らはあまりにしばしば裏切られてきたのだ。
〜中略〜
好奇心をもった、個性的で賢い人びとは、劇場に足を向けなくなる。
〜中略〜
損をする危険性があまりに大きすぎる、いままで失望した経験が多すぎるから。
かくして悪循環がつづくわけだ。
<退廃演劇>は着実にみずからの墓穴をほっているのだ。(高橋康也・喜志哲雄訳/晶文社/p.24〜p.28)
1971年の海外の著書だが、
これはまさに今の日本の演劇状況ドンピシャではないか。
前売1500円の壁の下で、どこまで行けるかはまだわからないが、
観劇という行為が単なる「生活を豊かにするもの」から逸するためには、
――「生活」そのものへと接近する、あるいは接近し直すためには――
ギリギリまで低価格に抑えることが不可欠であると思う。


