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2006年03月08日

第2号(全5号)「価格」

演劇のチケット料金は、概ね映画よりは高い。このことについて、演劇集団キャラメルボックスのプロデューサー加藤昌史氏は次のように言った。

「映画との比較をしちゃったら、そりゃ、演劇がかわいそうです」(加藤昌史の「演劇の謎」にお答えしよう!!のコーナー,http://www.katoh-masafumi.com/nazo/index.htmlより)

これはまぁ、よく言われることだ。演劇は生身の役者が上演するわけだから、映画より遥かに予算がかかるのは明らかである。

だが、本当に「かわいそう」だろうか。否、本当は既に「かわいそう」なのではないだろうか。

「上演者と観客が一つの空間で体験を共有できる」

これはよく言われる「演劇の魅力」だが、そんなもの人は知らない。そして「映画の魅力」も別にちゃんと存在する。ならば、その「演劇の魅力」とやらは果たして映画よりも高い金を払って観る価値のあるものだろうか。「演劇人」であることをいったん忘れて「消費者」の立場でモノを考えてみると、当然そのような疑問は浮かぶ。

「映画と違うんだから高くていい」は作る側と演劇ファンの言い分で、一般の消費者にはまったく通用しないはずだ。いや、理屈は理解できたとして、結局のところ消費、つまり劇場に足を運んでみることはしないだろう。

一消費者ならば、演劇の事情なんか知らない。映画と比べる。そして高いと思う。確かに演劇は、滅びないでほしい、滅びるべきでないと思う。だが、ヒイキしなければどう見ても映画の方が有利だ。消費者を無視し続ければ、やがて演劇は滅びてしまうのではないだろうか。(「演劇の魅力」を理解してくれる人は意外に多いから、実際そんなことはないだろうけど)

小劇場での一般的な公演の場合、チケット料金は大体2000円〜3000円代で、この数字は単純な計算で出る。例えば劇場使用料が4日で備品等含めて約30万、稽古場代・チラシ印刷等の制作に10万、装置・小道具・衣装等の製作に10万、計50万の費用がかかる。で、キャパ(客席の収容人数)が75人で5ステージ、見込み総動員数が250人だとすると、50万÷250人で2000円となる。高い劇場を使ったり、制作・製作に金をかければもっと高くなる。

そして、これはプラマイ0の数字、つまり関係者にギャラが出ない場合である。従って、生活しているという意味でプロを名乗ろうとすれば、もっと凄いことになっていく。

しかし、うちの場合は前売1000円/当日1200円である。安くする理由は単純で、映画とまともに戦ってみたいからだ。普段演劇と縁のない人たちに観てもらわなければ意味がない(その逆も然り、そういう人たちにだけウけてもまるで意味がない)と考える。予算の不足分は在籍団員が負担している。これを「プロ意識の低さの表れ」「学生の友達客が減るのが怖いんだろう」と見られる方もある。それならそれでいい。

ご覧になった方に「安過ぎるだろ!」とツッコまれる芝居を作りたい。と、ツッコんでいただけるとしたらそれは多分、演劇関係の方だ。くどいようだが、消費者はそんなこと知らない。
posted by 森山智仁 at 00:00| 企画:折り込みマガジン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする