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2013年11月29日

渡辺淳一著『君も雛罌粟われも雛罌粟 与謝野鉄幹・晶子夫妻の生涯 上』

微に入り細にわたって調べ上げられている。
人の気持ちの流れについて、
他人や後世の人間は想像することしかできないが、
恐らく概ね当たっているように思う。

わかったのは、鉄幹が相当のクソやろうだということ。
手紙の内容が凄い。
「俺が何人もの女を同時に好きになるのを受け容れろ、あと金を送れ」
と、別れた妻に書き送っている。
そしてそんな話は氷山の一角に過ぎない。

渡辺淳一は『失楽園』の著者。
日経新聞の「私の履歴書」に書いたことを受けて、
常見陽平氏は彼を「おそるべき絶倫情愛老人」と評している。
鉄幹の描写が批判的でありつつもどこか同情的なのは、
鉄幹が在原業平の生まれ変わりを自称したように、
渡辺氏も鉄幹のことを自分に近い存在だと感じている為なのだろう。

【年内読書最低50冊まで残り7冊】
posted by 森山智仁 at 17:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月27日

三池崇史監督作品『着信アリ』

わかりにくい。
というかわからない。

特典映像のインタビューで原作の秋元康が、
「わかりたい人は小説を読んで、続編も観てください」
と。
ふざけ過ぎだろ……!
続編はまだしも小説読めは映画として反則ではないのか。

『リング』と「抱き締める」でかぶってたけど、
『リング』がきちんと映画作品として完結してるのに対し、
これはひどい、
と言わざるを得ない。

【年内映画鑑賞最低50本まで残り2本】
posted by 森山智仁 at 08:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

中田秀夫監督作品『リング』

一人で観るのは無理なので、何人か招集して鑑賞。
みんなで観れば怖くない!

実際思ったよりは怖くなかった。
普通に話が面白かった。
移動が多くて飽きない。

原作未読だが、「原作モノの映画は劣化する」の法則に当てはまらない、希少な作品と思われる。
サイコメトリー能力の付与は大胆な好手。

遺体見つけたところ感動的だったのに呪い解けてなくて悲しい気持ちになった。

【年内映画鑑賞最低50本まで残り3本】
posted by 森山智仁 at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月25日

芸映プロデュース『ティラノ』@シアターグリーン BIG TREE THEATER

暗転が多く、映像向けっぽい脚本だとは感じたが、
それを補って余りある舞台美術の妙と、物語の重さ。

舞台中央の「円」の使い方が巧い。
演劇では意外と難しい「歩きながら喋る」を見事に実現。

心をエグるような激しい展開だっただけに、
あの夫婦が「離婚で済んだ」ことに「え?」ってなった。
引き金引いたのに……!

【年内舞台鑑賞74本目】
posted by 森山智仁 at 10:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月23日

今野晴貴著『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』

社会KOEEEってなりそうな一冊。

ブラック企業について「牙城」をイメージした。
巨大。
巧妙。
難攻不落。
弁護士という軍師まで置いている。
足軽一人ではとても落とせそうにない。

もっといっぱい具体例を読みかった、というのはある。

「現実を知れ」という定型句の害悪。
受け容れなきゃカッコ悪いみたいな風潮。
「変えてやろう」という意識は「若いね〜」で一蹴される。

実名を挙げているのと挙げていないのの差は何だろう?

【年内読書最低50冊まで残り8冊】
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2013年11月22日

LIPS*S『See You』

まず、口語の不自然さや筋書きの不完全燃焼は容認できない。

とは言え前半の流れは良かった。
ダンス・アクションのタイミングや量、内容が良く、
飽きさせまいとする構成で、「エンタメ」になっていた。

中・後半に失速してしまうのは、
この手の王道志向作品ではありがちで、止むを得ない気もするが、
総上演時間が2時間オーバーというのはやはり長い。

舞台美術が世界観に合っていたのか疑問。
機械都市なのにツタ?
「既に失われた文明」ならツタ這ってるかも知れないけど……。
「現役で稼働してる」ことに意味があったはずでは?

劇場で「SF」を観る度に思う。
設定とかアクションはぶっちゃけ二流でもいい。
見た目は絶対映像に勝てない。
だからせめて「言葉」が、生身の人間のやりとりが、独創的かつ高級でなければならない。

【年内舞台鑑賞73本目】
posted by 森山智仁 at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月20日

中川勇樹著『テレビ局の裏側』

第2回公演『ライト・ダウン』(2003年8月)ではテレビの「やらせ」を取り扱った。
当時は確かろくに調べもせずに書いたのだが、
あの時イメージしていたことが概ね思った通りで、もっと様々な手法があるということがわかった。

視聴率競争とかスポンサーのしがらみなども「本当にある」ようだ。





「AD」と言えば意味もなく蹴っ飛ばされている人が思い浮かぶ。
制作会社でバイトをしていた友人の話によれば実際そんな感じらしい。

そしてこの本によれば、テレビ局や大手制作会社なら高給取りだが、末端の制作会社は薄給だという。

最近になって「ブラック企業」の問題が騒がれるようになっているが、
制作会社のADさんはずっと昔からブラックの新人みたいな扱いを受けているのではないだろうか?

末端の制作会社にADとして就職した人が、
「俺が入ったとこブラックだったわ……」
と嘆く姿は想像しにくい。
人権とか主張し出したら速攻干されそう。

【年内読書最低50冊まで残り9冊】
posted by 森山智仁 at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月19日

ブラック企業

と言えば、高確率でワタミフードサービスが連想される。
とりあえずGoogle検索の関連ワード候補には挙がる。
そのイメージには勿論誇張もあるとは思う。





ワタミ系列のある居酒屋でアルバイトをしたことがあった。
当時の僕は派遣以外のアルバイトをすること自体が初めてで、
見た目も実質も間違いなく「使えないお坊ちゃん」であった。
だから当時、下記のような待遇があったことも、すっかり納得している。

新人研修のオープニングは社長からのビデオレターを見ることだった。
(当時は違和感を覚えつつもそういうものかなと思ったが、
その後のアルバイト経験でそれが特殊な例であることを知った)
ビデオレターはバックルームで観るのだが、
そのバックルームは二畳ほどのスペースしかなく、
「誰かが話しているとテレビの音なんかまるで聞こえない」。
僕がビデオレターを視聴している間、
先輩たちは明らかに意図的と思えるレベルで、
大声で談笑していた。
確かに社長のメッセージには興味がなかったから問題はなかったが、
アルバイト初日、あの先制攻撃には参った。

1.「あいつ使えそうにねーから脅しとけ」と店長から指示があった。
2.「俺らが迷惑するから脅しとこう」という共通認識があった。
3.「社長のビデオなんて意味ねーよな」という仲間意識の表明。
4.特に意図はない。

普通に考えると4.なのだが、
そこそこの確率で2.、
あり得なくはない確率で1.、
だと思っている。

繰り返しになるが、使えないのが悪いのだから、文句はない。
僕が「古参バイト」の立場なら、使えない新人には来てほしくないし、
「店長」なら、「深夜と土日入れる」なら一応取るべきだが、
「案の定使えない奴だった」ら、すぐ辞めてほしい。





企業の目的は利益の追求である。
「人に優しく」している場合ではない。

その原則自体には何ら疑問を差し挟む余地がない、と、
僕は考えている(いた)ので、
先日読んだ『女たちのサバイバル作戦』(上野千鶴子著)に、
すんなりと入っていけないところがあった。

「女はどうせ出産する、つまり退職する」。
そのイメージを、心から「非道い」とは思えなかったのである。

優先すべきは利益。
男女同権は行政の課題であって、
利益を争うことは「方針」ではなく「真理」と感じてしまう。
見る人が見れば僕も「洗脳」されているのだろう。
(上野さんも恐らくそういう読者がいることを見越した上で、
古い体質にしがみついていれば結局「競争」で負けることになる、
という展開をしておられる)





理不尽なだけの「ブラック」なら結局生き残れない。
だが企業側には「忠実で使える奴だけ残ってほしい」という「理」があり、
雇用される側でも「使えないのが悪い」は自明となっている。

だったら何をやっても許される、ではないが、
甘いこと言ってんじゃねぇよ、にも、どうしても説得力がある。





利益の追求は神から与えられた毒リンゴなのかも知れない。
だとしても日本人のほとんどはその誘惑に抗えない。
posted by 森山智仁 at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ZIPANGU Stage『シット☆コム』@萬劇場

シチュエーション・コメディだったが、正直笑えるところは一つもなかった。

シチュエーション・コメディなんだから、シチュエーションで笑わせるべき。
キャラクターが濃過ぎる。
時代劇の姉御みたいな口調とか、つい「ケロ」って言っちゃうのとか無理がある。
そんな人間いない。

そもそも初っ端に半沢直樹ネタってのはいかがなものか。

「1時間の番組」という設定で、放送開始の瞬間から本当に1時間で終演、という構成は良かった。
総上演時間1時間30分少々なのも良いのだが、最初の30分があまりにも冗長。
いきなり番組開始でも人間関係等の背景は十分説明できるはずだしこちらも理解できる。
長くても15分で足りたはず。

森夏姫さんと、ゲスト出演した劇団チョコレートケーキの日澤雄介さんは良かった。
存在を信じることができた。
大味なキャラクターを演じる上で大切なことは、思い切りとディテールだ。
「それ風な喋り方」をするばかりで、全身でやれていない人が多い。

【年内舞台鑑賞72本目】
posted by 森山智仁 at 15:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月17日

『森山智仁の森小屋 vol.1』アンケート公開その2

『森山智仁の森小屋 vol.1』公演中です。
お客様からお寄せいただいたアンケートの一部を公開します。

――――――――――

『投票に行こう!』

●ほんわかした日常の場面から一気に異世界に入り込む展開がスリルありました。

●あながち、遠くない未来かなと思う。

●ショートショート小説を読んでいるような、面白い話でした!

●分り易く、しかしコワイ内容。

――――――――――

『私の一番眠い日』

●個人的に1番共感できる話でした。
睡魔の魔は24時間私を悩ませる……。

●発想がまず面白かった。
睡魔を擬人化してくるとは。

●ツボとか為になりました。
ほっこりしてよかったです。

●意気の合ったかけ合いが面白かった。

――――――――――

『ゲートキーパーベーシック』

●テーマから、すごくナイーブな話になりそうだけど、
二人の演技に魅入ってしまい、大変素晴らしかったと思う。

●テンポよく進んでいって気持ちの良い舞台でした。

●役の多面性を表現しきった辻さんと、
大事で重い(クサくなりかねない)台詞をまっすぐ伝えるまりんちゃんの力量に見ごたえを感じた。

●きっと自分は辻さんよりだ。
自分が足りてないと遠くの他人にまで中々想いはおよばない。
posted by 森山智仁 at 06:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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