1997年初版。
ロサンゼルスに住む小説家の唯一のノンフィクション。
カーラはドラッグ中毒で、むかつく相手を殺して、死刑と決まった。
一行にまとめてしまえばそうなる。
著者はカーラを面会を重ねる。
著者は息子ピーターを轢き逃げ事件で亡くしている。
非行に走りがちだったピーターとカーラとを重ね合わせているように見える。
(本の後半でそのことに触れ、
厳密には子というより妹のような感覚であるらしいとしている)
轢き逃げ事件のことは大変気の毒に思うが、
ピーターが生前傷つけたであろう「退屈な」人々のことを思うと、
著者に対して完全な共感を抱くことが僕にはできなかった。
(天罰が下ったのだとまでは言わない)
とは言え、著者はカーラと親しくなりながらも、感傷的になってはいない。
死刑制度の是非に言及してもいない。
ドラッグや、人間の生きる環境について、適切な距離を取って観察している。
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