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2013年06月22日

つかこうへい『幕末純情伝 -龍馬を斬った女-』

本当に乱暴だなあこの人は。
つか作品が好きというのは、暴君についていってしまう近習の心理に多分通じるものがある。

近藤勇がいい。
「涙が近藤の全身を解かすかのようにとめどもなく流れていた」

【年内読書最低50冊まで残り36冊】
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2013年06月21日

脚本を書くのにかかる時間

1つの脚本を書くのにどのぐらいかかるか、
という質問をよくされる。

普段は計って書いたりしないのだが、
大ピンチの折に残り時間を気にしながら書いたことがあった。

その時の感じによると、
約1分のシーンを書くのに最低1時間以上かかっていたので、
1本の作品を書き上げるのに要する時間は100〜200時間、
ということになる。
※ちなみに1ページが約1分になるように書式を設定してある。

が、その前に「溜め」の期間がある。
基本的には、関連書籍を読む。
と、ある時ふと、ページを繰る手が止まる。
いわゆる、思いつく。
思いつきはどこかにメモる。
使える思いつきは脳内で何度もリフレインする。
やがて聞かせたい台詞・見せたい場面がいくつかストックされ、
それらが繋がるように、辻褄を合わせる。

溜めが終わってから書き始めるわけではなく、
途中で手が止まったら溜めに戻る。

溜めの期間を含めると結局よくわからない。
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2013年06月20日

こゆび侍『きれいなお空を眺めていたのに』@王子小劇場

良い意味で、現代的。
他人にあまり深入りしない感じ。
しかし孤独な人はいないという構図に救いがある。
特に「ひきこもりの友人」が輝いて見えた。

また、映像的。
基本的に静かで、フィルムを回す音が聞こえてくるかのよう。
個人的には笑いがあればもっと入り込みやすかったし、
十分過ぎるほどやれそうな役者陣だとも思った。

グラップラー刃牙の作者板垣恵介さんの作品に『化粧師』というのがあり、
その中で「汚いものをいじめる一番の方法は飾ること」とある。
この『きれいなお空を眺めていたのに』に「美じめ」なるものが出てきたが、
容姿にコンプレックスを持つ人に対しては相当な打撃になると思う。
万が一本気でいじめ問題の対策として挙げられているならご再考願いたい。

しかしその美じめをする二人組はいい。
いじめっ子(がメインのジョブではないのだろうが)らしくない芋っぽさで、フラットに観察できる。

葬式のおばさんも設定・演技共に素敵だった。
オチに意外性もあり。

ひきこもりのエピソード、もうちょっと先まで観たかった。

【年内舞台鑑賞最低50本まであと15本】
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2013年06月19日

マリアス・ジャンセン著/平尾道雄・浜田亀吉訳『坂本龍馬と明治維新』

出版した時事通信社によれば、
「龍馬の原点はここに――。
司馬遼太郎が『竜馬がゆく』執筆の際、最も参考にしたといわれるファン待望の名著」
とある。

今日の龍馬のイメージは、ほぼ『竜馬がゆく』によって形成されたものといわれる。
漫画『おーい! 竜馬』も大河『龍馬伝』も大体それを踏襲している。
心優しき風雲児、時代を先取りし過ぎた英雄、日本一海の似合う男。

時事通信社の紹介が事実なのだとしたら、司馬遼太郎の筆力はまさに驚異の一言に尽きる。
この本を「最も参考にした」ならば、普通まず『竜馬がゆく』にはなるまい。
ここから浮かび上がる龍馬像は、はっきり言って、そこまでじゃない。
むしろ既存の龍馬像を打破すべく「後に」書かれたものとすら思える。

翼をさずけたのだ。
かっこよかったらしい戦国武将をかっこよく描くのとはわけが違う。
無から有を生み出し、しかも、愛されている。

「龍馬ファンには怒られるかも知れない。
だが、それがいい」
そんな風に考えている僕とは、当たり前過ぎることだが、格が違う。

【年内読書最低50冊まで残り37冊】
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劇団Please Mr.マーベリック『わるいひとたち』@楽園

第6回ルナティック演劇祭決勝。

あらすじに書いてある世界観の説明に結構な時間が費やされる。
普通はNGだが、笑いのおかげで単調さはかなり軽減されていた。
にしても何か見た目一発で納得させられる大道具が欲しかったところ。

話は安定している。
観やすい。

しかし、惜しい。
毒がなさ過ぎる。
予選の演目は特殊なアイテムが中心となる為、
特に魅力的なヒール(悪役)はいなくても成立したが、
この作品にはそれが必要だった。
具体的には大統領と乱暴者(妹を亡くした)がそのポジションなのに、
彼らの造形がステレオタイプで、悪いというより、賢さが足りない。

人狼というシチュエーションは面白い。
なのにその面子がどうもドングリの背比べなのである。

パンフレットの裏にひっそりと伏線(?)が張られていたので、
結構な落差があったにも関わらず、オチはすんなりと受け入れられた。
遊び心大事。
しかしパンフに気付いていなかったらどうだっただろう。

【年内舞台鑑賞最低50本まであと16本】
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2013年06月17日

NHK大河ドラマ『龍馬伝』(第29〜32話)

君は少数派だ。
と、僕はことあるごとに自分に言い聞かせなければならない。

「若衆(亀山社中の面々とか)の“活気”作り過ぎ!」
と僕は思うが、
「若い人が元気でいいわねえ」
と多くの人が思うだろう。

「薩摩と長州のいがみ合い誇張し過ぎ!」
と僕は思うが、
「薩摩と長州はあんなにいがみ合ってたのに龍馬が結びつけたのねえ」
と多くの人が思うだろう。

この前テレビで「スーパー能」の話を観ていて、そのセリフに何度か驚いた。
試みは素晴らしい。
しかし生きた人間が発する言葉として普通に(わかりやすくしようとした結果でなく)変。
と数回思ったが、
そんなことを思うのはせいぜい100人中1人ぐらいで、
社会の中ではそんな奴をいちいち相手にしていられない。

一票の重みは均等である。
100人中1人が「ここが良くない」と熱く語っても、
残り99人が「別にいい」ならそれは「別にいい」のである。





逆も言える。
↑何の逆だ。
僕がいつも少数派側というわけじゃない。

普通に「へー」って感じで聴いていた『龍馬伝』の土佐弁も、
地元に人からは「作り過ぎ」という声が聞かれた。
しかし、仮に高知の人全員が「作り過ぎ!!!」と思っても、
47都道府県中1県だから「大したことはない」。





「どこが悪いか」ではなく「何故売れているか」を見なければならない。
商人なら必ずそうする。

【年内映画鑑賞最低50本まで残り25本】
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2013年06月16日

チームまん○(まんまる)『地球』@シアターKASSAI

割と面白かった。
マニアックなネタがツボったのと、トリビア的な楽しさがある。
ブラック精子さんがかっこよかった。

「下ネタと感動の融合」と銘打たれていて、
どのぐらいの配分なのかということに興味があったのだけれども、
全然「下ネタ」とは思わなかった。
感動が9割。
勿論、それはそれでアリだと思う。

衣装にもうちょっと予算を回してもいいのではないかと。
精子たちの不統一感がもったいない。

尚、個人的にはこれと近い発想の別の作品を先に観てしまっていて、
そちらが強烈に面白かったこともあり、斬新とは感じられなかった。

【年内舞台鑑賞最低50本まであと17本】
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2013年06月15日

龍馬を英雄視しない

「坂本とその友人たちは、
政治と同じく商業の面でも、
西洋の模範でとりいれられそうなものは、
ことごとくそれをとりいれる気がまえでいた。
〜中略〜
しかしここでもまた、
こうした主張をいだいていたのは、
決して坂本や陸奥らに限らなかったことをくりかえしておく必要がある」

(マリアス・ジャンセン『坂本龍馬と明治維新』)





龍馬の「凄さ」を描く為、
周囲の「愚かさ」は誇張されがちである。

そんなにみんなばかなわけがない!

間違っても単なる英雄譚にはしない。
posted by 森山智仁 at 18:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

みんな映画なら観る

映画は2000円しない。
だから演劇もその値段で戦い、革命を起こしたい。

そう考えていた自分を尊皇攘夷過激派に置き換えてみると、
彼らの気持ちがわかるような気がする。
「どうしても、そうしたい」
「そうしなければならない」
本当に現実を知らないので、そんなもの知らないと本気で言える。

薩摩も長州も西欧との戦争を経て、
西欧に学ぶ必要を知った。
僕は心あるプロと関わり合うことで、
ある程度以上のものを作るにはコストがかかるということを理解した。
感情だけでは絶対どうにもならない。

前売1000円代の頃から関わったり観たりしてくれている友人たちの一部は、
最近の値段(前売3000円)を高いと言う。
確かに高いだろう。
それはそう。
だが僕は今、少し高いと思われても、きちんとできる方を選ぶ。

そしてその金を出してもらうに値するエンタメにしなければと思う。

勿論「絶対」金をかけないとちゃんとやれないわけではない。
上手にやっているところもたくさんある。

現実を知れば、想像力も増す。
安値で上手くやれそうな企画の案も浮かぶ。
ここ数日、ちょっとそっちに気を取られていた。

今はまず目先の『龍馬』。
本公演は順当に行く。
posted by 森山智仁 at 11:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

おぼんろ『ビョードロ』@d-倉庫

お噂はかねがね。
やっと見ることができた。

急浮上した劇団の名を聞くと、
「プロモーションが強いんだろう」
と最初に思うクセがあった。
そりゃプロモーションが強くないと売れない。
が、プロモーションが強いイコール中身が弱いではないはずなのに、
嫉妬も働いたのだろう、中身を疑いがちであった。
反省。

脚本が良かった。
筋書きは斬新でこそないけれどバランスよく構成されている。
目を、もとい、耳を引いたのはやはり言葉の感覚。
レトロの中に現代的なポップがある。
絵の具はちょいグロ系の絵本に使うような古めかしいやつ(どんなだ)なのに、
筆は最新の合成繊維のもの(そんなのあるのか)を使ったような感じ。

話題のフレンドリーさについては言及し難い。
それのおかげで楽しめたわけではないからだ。
偏屈な男性お一人様な場合は、事前にアルコールを摂取しておいた方がいいと思う。

しかし、何だか、感じ入るところがあった。
作品は作品! 制作は制作! という分業が一般的な中で、
(演劇以外の世界でもそうだし、またそれ自体は「大切な当たり前」だが)
みんなが一丸となって全部を頑張っているという感じがした。
勝てそうにない勝負をかけて、実際にここまで勝っている。

コクーンに行ってほしい、と、思った。
勿論、脚本が子供だましだったら決して思わなかっただろう。

【年内舞台鑑賞最低50本まであと18本】
posted by 森山智仁 at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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