最近面白いことがないなあと思いながら眠ったら、
強烈な夢にドつかれるようにして目が覚めた。
こういう時、神様はいるんだなあと思う。
例に漏れず、詳細は他人にとっては退屈な話でしかないので省くが、
とにかくそれは命に関わる夢だった。
劇作をやる知人で「絶対に劇中で人を殺さない」という人がいる。
人が死ぬと人はすぐ感動してしまうからだ。
その誓いは良いことだと思うし、
意図とは別に、命の「威力」を示してもいる。
舞台で人が死んだり命を賭けたりすると、
それがどんなに陳腐でくだらない作品でも、
必ずと言っていいほど客席のどこかからすすり泣きが聞こえる。
それでいつも「おいおいマジかよ……」と、
ますますその作品から距離を取りたくなってしまうのだが、
そういう僕も流石に近親者が死にかける夢を見れば飛び起きる。
僕が書くのは歴史モノなので、自然と劇中で人が死んでしまう。
楽に感動させたいわけではない。
誰もが知ることだが、命の取り扱われ方が現代の日本とは全然違うのだ。
ナチスがユダヤ人を大量虐殺したことは非難の的になるが、
近頃すっかりイケメンになった戦国武将の皆さんも、
突撃を一回命じれば足軽が何十人も死ぬ。
とは言え上演するのは現代の日本なので、
「今とは違ったんですよー」と、
ただ陳列だけでは何の説得力もない。
龍馬は生涯殺人をしなかったそうだが、
そのせいか多くの作品で「歴史の中に迷い込んだ現代人」のような描かれ方をしている。
大人物だが「むしろ普通」で、故に共感されやすい。
「現代人としては」ごく一般的な感情をあの激動の時代に堂々と持っていられた、
というのが確かに龍馬の魅力の一つなのであろうが、
わかった。
そういうものは「既にある」ので、
僕は違うことをしよう。
次々回!
劇団バッコスの祭 第22回公演
9/26〜10/2 @萬劇場
『押忍! 龍馬』(仮題)
第25回池袋演劇祭参加作品
6月にまたオーディションやります。