1月の公演と、
20本弱の観劇と、
ワークショップを終えて。
演出の能力を4つに分類してみる。
1.イメージのクオリティ
2.仲間にイメージを伝える力
3.仲間の現状とイメージとの差を伝える力
4.仲間を導く力
※役者・スタッフを総合して「仲間」と書いたが、
ここでは主に役者について考える。
1を鍛えるには稽古場の外で努力するしかない。
その作品の為に思念することも決して無駄ではないが、
年月の中で培われた感覚が大きなところを占める。
センスとは人生だ。
2〜4を一緒くたに考えがちである。
3が今の僕には主軸となっている。
ダメ出し・ホメ出しは的確だと言われる。
2は重要だが難しい。
どんな表現をしても受け取り方は人によって違う。
3・4の過程も含めて伝える方が時間効率はいいだろう。
※受け取る側が、
「こういうダメを出すということは、
全体的にこういう風にしたいということだろう」
と汲み取る必要がある。
4を、僕は今まで疎かにしてきた。
乱暴な言い方をすれば、
演技が良くならないのはセンスが悪いからだ、
と片付けていたフシがある。
多分それ自体もまったくの的外れではない。
役者がセンスを磨かなくていいわけがない。
しかし本来、導き方はあるはずなのだ。
回りくどいことを述べず結論を言う。
「ドじゃなくレで言え」と指示する。
そういうやり方で主にやってきた。
これにもメリットはある。
速いし、正確に伝わる。
けれども、少しだけ回り道をして、
「何を」「どう」表現したいか、
まずそれを考えさせ、共有してから、
「だったらレで言え」に至ることもできる。
今までそれを全くしていなかったわけではない。
が、演技体のバラつきという課題が確かに存在している。
結論に付随して、
目的や根拠も理解できているなら、
再現性は上がるし、
自主練もし易い。
別の結論を生み出すこともできるだろう。
センスだけに依存することはない。
役者のセンスが稽古の段階でどうだろうと、
観客は既に入場料を払っているのだ。
演出家には役者全員がセンス良さそうに見せる責任がある。
「何をどう見せたいか、まず役者に尋ねる」
そういう技法で次回の公演に臨んでみたいと思っている。
3月の企画までは、もう日がないのだが……。