先日、初めてウェイターのバイトをやりました。新宿のお洒落な和食のお店で、僕も似合わない作務衣なんか着てしまいました。お料理はどれも大変美味しそうでした。さて、新しいことをやるのは楽しくもありますが、そこには失敗もつきものです。人間、慣れないことに手を出して錯乱してしまうと、何をしでかすかわかりません。
鍋をご注文いただいたお客様には、当然鍋をお出しします。まずコンロを出す。鍋を出して載せる。火をつける。具を出す。どうぞ召し上がれ。なんていう手順は、別に教わらなくてもわかるべきレベルのことでありましょう。しかし、ここで僕は、一般的にはあり得ないようなミスをしでかしたのです。
まず、僕の鍋初体験は手順2:鍋をお出ししてコンロに載せる、でした。「これ(鍋)、○○さんについてって、一緒にお出しして」と指示され、とりあえずその通りにしました。ところが、気の利かない僕は火をつけなかったので、「ああ、鍋お出ししたら火つけてあげて」と、親切な先輩にご指導いただいてしまいました。そして、僕の頭の中では「鍋→着火」というプログラムが約2秒で組み立てられました。
それからしばらくの後、今度は僕が手順1:コンロをお出しする、の役目を仰せつかりました。もう大丈夫です。僕は既に一度鍋での失敗を経験し、しかも偉大な先輩から教えも授かっていたのです。何も恐れることはありません。僕は自信満々でコンロをお出しし、火をつけました! 「……?」と、お客さんは思われたはずです。しかし僕にとって鍋と着火は切っても切れない縁で結ばれていたので、二人を引き裂くわけにはいかなかったのです。とは言え、流石の僕もすぐに、これは何かおかしい、何かが間違ってるということに気付きました。何しろ、まだ鍋本体が来てないのにコンロだけが威勢良くごうごうと燃え盛っているのです。僕は、「アホか自分!」と思いました。が、一度つけた火を消す(消した方が良かった)わけにもいかず、とりあえず「失礼いたしました」と言って去りました。そして「アホか自分アホか自分!」と頭の中で連呼しつつ光速で厨房へ舞い戻り、幸いまだ運び出されていなかった鍋本体をひっつかまえて、改めてさっきのテーブルへと向かいました。速攻で鍋を載せてしまえば、疑問は解消されるはずです。「失礼いたします!」。見ると、火は消えていました。お客様がご自分で消されたのでした。僕はもう恥ずかしさのあまり踊り出しそうになるのを我慢しながら、謝罪しつつ、どうにか鍋をコンロに載せ、改めて火をつけたのでありました。
えー、あの時のお客様、本当に失礼いたしましたm(_ _)m


