八王子駅。
小柄な中年女性が一人、鞄を探っている。
足元にICカード。
真下に落としていると知らずに鞄を調べ続けている。
すぐ気付くだろうと見越して声は掛けずに通り過ぎた。
しかし気になって振り向くとまだ気付かない。
女性の背後から若い男が現れ、何食わぬ顔でカードを蹴った。
カードはさらさらと滑り、僕のすぐ近くに止まった。
女性は気付いていない。
僕は反射的に手を伸ばしてカードを拾った。
男はそのまま進んでくる。
そして自分のものだと言わんばかりに手を出した。
瞬時、目が合う。
特別悪いことをするような人には見えない。
むしろ平凡。
この後殴り合いになるような気配など微塵も無い。
僕は特に何も感想を込めずに視線を外し、女性にカードを渡した。
人気の少ないところまで来て振り返るとその男が突然殴りかかってき、
たというようなことは結局無かった。
そんなようには見えなかったとは言え流石に少しは緊張していた。
しかしどうだろう。
たまたま僕が前にいて先に拾ったからいいものの、
男が蹴って拾うのを後方から見ていたとしたら、
僕は声を掛けることができただろうか。
あの時僕の目に男は平凡に見えた。
だが事を為した後なら悪鬼羅刹に見えたかも知れない。
あるいはそもそも人気のない場所だったら。
男が明らかに恐ろしげな人物だったら。
それでも僕は正しい行動を取ることができただろうか。
そんな仮定はまぁいくらやっても始まらない。
書きながらふと気になったのは、
カードの本当の持ち主が誰か僕が知っている、
ということをあの男は果たしてわかっていただろうか、
ということだ。
てっきり(顔に似合わず)ふてぶてしく手を出してきたものと思ったが、
実は見られていないと勘違いしていただけという可能性もある。
あの時の「雰囲気」の無さからすると、
どうもわかっていなかったと見る方が妥当と思える。
つまり恐らくはふと魔が刺しただけのことだろう。
根はいい人という気さえする。
町で時おり小さな幸せを見かけるように、
僕は小さな悪意と遭遇したのだった。
2009年12月28日
2009年12月26日
荒神
いくら雰囲気出そうと、
どんなに殺陣が凄かろうと、
大沢たかおであろうとも、
そんなダラダラと会話されては全く楽しめない。
知人との提携公演で短編をやった時、お客さんに、
「戦う理由をくどくど喋り過ぎ!」
と言われたことがある。
あれから一年、観る側になって漸く深い肌で実感した。
作り手は話を作り込んで感情移入とかメッセージとか色々「成立」させたがるが、
受け手が欲しているのはもっと単純なエンターテイメントだ。
感情移入ならストーリー全体より一瞬の何かだったり、
メッセージなら「面白い」と思ったらさらりと感じ取れるだろう。
「振るのに十分な理由さえ用意してやればお前は勝手に振り込んでくれる」
というようなセリフが麻雀漫画によくある。
辻褄を合わせて論破しようとするようなお話作りは、
計算だけで麻雀を打つようなものだろう。
(勿論麻雀なら計算で打つのが正解でトータルでは勝つだろうけれども)
件の短編のみならず、過去の公演で反省すべきことは少なからずある。
今必要なのは肉の疼きで、骨の軋みで、腑の震えだ。
どんなに殺陣が凄かろうと、
大沢たかおであろうとも、
そんなダラダラと会話されては全く楽しめない。
知人との提携公演で短編をやった時、お客さんに、
「戦う理由をくどくど喋り過ぎ!」
と言われたことがある。
あれから一年、観る側になって漸く深い肌で実感した。
作り手は話を作り込んで感情移入とかメッセージとか色々「成立」させたがるが、
受け手が欲しているのはもっと単純なエンターテイメントだ。
感情移入ならストーリー全体より一瞬の何かだったり、
メッセージなら「面白い」と思ったらさらりと感じ取れるだろう。
「振るのに十分な理由さえ用意してやればお前は勝手に振り込んでくれる」
というようなセリフが麻雀漫画によくある。
辻褄を合わせて論破しようとするようなお話作りは、
計算だけで麻雀を打つようなものだろう。
(勿論麻雀なら計算で打つのが正解でトータルでは勝つだろうけれども)
件の短編のみならず、過去の公演で反省すべきことは少なからずある。
今必要なのは肉の疼きで、骨の軋みで、腑の震えだ。
2009年12月24日
2009年12月22日
モンキー・チョップ・ブルックナー
どういうことなんだろう。
客席にやたらと美男美女が多い気がする。
制作の人もなんかみんなきれいだったし。
僕は今ひどく心細い。
イルカの群れに混ざってしまったマンボウのようだ。
さて開演、電源を切ろう。
面白かったー。
「面ン白かったあああ」とまでならないのは、
ハンドボールと終わり方がよくわからず後味がスッキリしないせいだけれども、
それでもチョウソンハさんがすげー喋るところはちょっとマジみんなに見せたい。
あと久々にひょっとこ乱舞の体の動きが単純に楽しいと感じた。
★★★★☆
2009年12月21日
けしからん夢を見ておるわ
もう何年経ったと思ってるんだ。
まさか今頃になってこんな夢を見るとは思わなかった。
別に夢=深層心理(今の)だとは思わない。
かつての恐怖体験をふと思い出すように、
何かの弾みで脳がリプレイしてしまっただけだろう。
勘弁していただきたい。
※えろい夢ではありません。
まさか今頃になってこんな夢を見るとは思わなかった。
別に夢=深層心理(今の)だとは思わない。
かつての恐怖体験をふと思い出すように、
何かの弾みで脳がリプレイしてしまっただけだろう。
勘弁していただきたい。
※えろい夢ではありません。
2009年12月17日
よーし
とりあえずオープニングのイメージは湧いてきた。
あとは何か一つ核になるものが思いつけば勝負になる。
いい役者がたくさん集まるといいなあ。
食わず嫌いに満を持しての新選組ということで、
少なくとも近藤・土方・沖田を普通に使ったら負けだ、
と考えてとりあえず他の人に切り口を求めるわけだが、
そうは言っても『燃えよ剣』は破壊的に面白い。
果たしてこの土方より魅力的な主人公を、
僕は書くことができるだろうか。
あとは何か一つ核になるものが思いつけば勝負になる。
いい役者がたくさん集まるといいなあ。
食わず嫌いに満を持しての新選組ということで、
少なくとも近藤・土方・沖田を普通に使ったら負けだ、
と考えてとりあえず他の人に切り口を求めるわけだが、
そうは言っても『燃えよ剣』は破壊的に面白い。
果たしてこの土方より魅力的な主人公を、
僕は書くことができるだろうか。
2009年12月16日
滑舌が悪いことは罪悪だ
やよい軒で飯を食って、
帰りがけに店員さんの背中に、
「ごっさんでーす」
と声を掛けた。
すると彼女は、
「おつかれさまでーす」
と聞こえたらしく、
「お、疲れ様です…(こんな人バイトにいたっけ?)」
と返してくれた。
その後気付いたらしく小声で、
「ありがとうございましたー」
と訂正していた。
今度からはハッキリと、
「ご馳走様でした」
と言おうと思う。
帰りがけに店員さんの背中に、
「ごっさんでーす」
と声を掛けた。
すると彼女は、
「おつかれさまでーす」
と聞こえたらしく、
「お、疲れ様です…(こんな人バイトにいたっけ?)」
と返してくれた。
その後気付いたらしく小声で、
「ありがとうございましたー」
と訂正していた。
今度からはハッキリと、
「ご馳走様でした」
と言おうと思う。


